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ショー大国、アメリカの業界トレンドと展示会出展コスト

ショー大国、アメリカの業界トレンドと展示会出展コスト

アメリカの展示会産業

  • アメリカの展示会産業の動向
  • 米国企業の年間展示会予算は 80 万 5000 ドル(約1.1億円)
  • トレード ショーの ROI と収益は?

展示会出展における予算編成と計画の参考基準

  • 展示スペース – トレードショー全体の予算の 30〜35%
  • ショー サービス – トレード ショー全体の予算の 15〜20%
  • 展示ブース・ディスプレイデザイン – 全体予算の 10%
  • 輸送費 – トレード ショー全体の予算の 10%
  • プロモーション – トレード ショー全体の予算の 5%
  • 人件費と関連経費 – トレード ショー全体の予算の 20%
  • その他雑費 – トレード ショーの予算全体の 5%

 

アメリカの展示会産業の動向

 

ショー大国、米国では、トレードショー、コンスーマーショー、カンファレンス、エキスポ、フェアといったなどイベントが年間を通して全米で開催されており、その数は毎年約 13,000 に上り、これは世界のすべての展示会・見本市の 40% を占めています  [1]。

 

米国で開催のイベント一覧

 

COVID-19パンデミックで深刻な打撃を受けた展示会・見本市企画産業でしたが、米国の展示会・見本市企画業界は、2023 年にはパンデミック前の水準に回復 、271億ドル(約3.7兆円)に達すると推定されています [2]。

 

米国企業の年間展示会予算は 80 万 5000 ドル(約1.1億円)

米国企業のマーケティング担当者と出展者に対する調査によると、2022 年の展示会の年間予算総額の平均は、80 万 5000 ドルでした [3]。 2022 年の展示会の平均予算は、パンデミック前の 125 万ドルから減少し、回復基調にはありますが、イベントのハイブリッド化も背景にあると考えられます。

 

トレードショーの ROI と収益は?

一般的に、展示会・見本市の投資収益率(ROI)は、ブース、輸送、旅費、および宿泊費等全ての関連経費を考慮した上で、少なくとも 500% が理想的であると考えられています。即ち、1 ドルの支出ごとに 10 ドルが得られるという計算です。その企業や商品・サービス特有の顧客の継続・リピート率、粗利率にも依存するため、一概には言えませんが、もしトレード ショーの ROI が 100% 未満の場合、マーケティング担当者は戦略の改善を検討する必要があるでしょう。

 

展示会出展における予算編成と計画の参考基準

 

展示会はマーケティング投資ですが、費用はどれくらいみておく必要があるのでしょうか。 展示会には、出展費用やブーススペースのレンタル料のほかに多くのコストが含まれます。正確なコストを弾き出すには綿密な調査が必要ですが、概算予算計画において、業界で平均的な展示大まかな目安がありますので、ご紹介します。

 

まず、展示会出展経費は大きく分けて以下の 4 つのカテゴリに分類されます。

 

出展費用(ブース関連料金)

サービス費用(オンサイト ショー サービス、送料など)

人件費(旅費、宿泊費、食費含む)

販促費(広告、景品、スポンサーシップなどマーケティングに関連する費用)

 

展示スペース – トレードショー全体の予算の 30〜35%

ひとつの展示会出展経費総額は、ブーススペース費用の3倍前後を見積もっておきます。

全米のトレードショーのブーススペース費用の平均は、 1平方フィートあたり138 ~ 154.50 ドルです [4]。たとえば、20×20 のブース エリアの費用が56,000 ドルの場合、総予算の見積もりは 168,000 ドルとなります。

 

ショー サービス – トレード ショー全体の予算の 15〜20%

カスタムのモジュラー展示、レンタル展示スタンド、既製展示キットのいずれを利用した場合でも、ブースの設置、解体と撤去(I&D)が必要になります。また、展示会の前後に展示品を保管する必要があり、このコストも見過ごせません。

 

小規模で簡易な展示物の場合、スタッフで設置と撤去を行うことで費用の節約をできますが、展示物を損傷したり怪我をしたりというトラブルが発生することもありますので、慎重に判断しましょう。

 

米国のほとんどのコンベンション センターでは、10’x10′ または 10’x20′ を超えるブースの設置と解体に、労働組合員を採用することを必須条件としています。これらの標準サイズは、1 ~ 2 日で組み立ておよび解体できるように設計されています。

 

小さな会場であっても、通常、出展者が自分で行うことを禁じられているタスクのリストを公開しています。 ご想像にかたく、大工仕事、電気、およびリギングが最初にリストされますが、他にも多くの詳細項目があるので、知識が十分でない場合は専門業者を利用することが推奨されます。

 

展示ブース・ディスプレイデザイン – 全体予算の 10%

展示デザインは、言うまでもなくイベントマーケティングキャンペーンの主軸です。レンタル、カスタム制作、何度使い回すか、機能性、機材の導入などにより変動しますが、目安としては、トレード ショーの予算全体の 10%ほどとなります。企画フェーズで必要な機能とその価格を割り出し、予算によって取捨選択していきます。

展示物の全体的な生涯コストを算出するには、ディスプレイを何年使用し、毎年何回のショーに参加するかによって見積もる必要があります。

使用頻度によりますが、目安として、トレード ショーのディスプレイ ハードウェアの平均寿命は 5 年、グラフィックスの場合、平均寿命は 1 年と言われています。

 

輸送費 – トレード ショー全体の予算の 10%

トレード ショーの展示品を米国内、または日本や海外の倉庫からイベント会場に輸送する費用は、早い段階で調査できます。

ただしこれは輸送費の一部にすぎず、そのほかにドレージと呼ばれる、展示物の貨物を降ろして管理し、展示スペースに出入りさせる一連のコストが発生します。

ドレージの費用を予め正確に見積もることが難しく、予想外の費用に不意を突かれることもあります。平均的なケースとして、ドレージ費用は通常、会場への展示品の発送費用と同等、または少し上回る程度となっています。

 

プロモーション – トレード ショー全体の予算の 5%

 

イベント前施策

業界誌に広告を掲載したり、プレスリリースを配信したり、ソーシャルメディアで告知をしたり、ショーリストを入手して参加者に連絡したり、といった事前の集客施策はとても重要です。アウトリーチができる限り効果的であるように、販促予算の一部を取っておきましょう。

 

配布資料

カタログ、パンフレット、営業資料といったマーケティング資料もイベント参加者にブランドと製品について認知促進・啓蒙するための効果的なツールです。ただし、実際に印刷物を制作し、輸送するのにはコストもかかり、出展者が大量のカタログをスーツケースに入れて渡航するのも現実的ではありません。来場客へどのように訴求するかをしっかりシミュレーションし、厳選した資料を用意し、さらに来場者のリードを効果的に収集できるスキームを確立し、イベント後のアウトプットまで想定したプランニングを行いましょう。

 

製品デモンストレーション

製品デモは、イベントの最大の目的とも言える製品やテクノロジーのプレゼンテーションです。来場者をブースに誘導し、滞留させるためのモニターやタブレット、タッチパネルなどのデモ用機材、映像等の素材のコストを含みます。

 

景品・サンプリング

特に、食品、飲料、日用品などの消費財、ホビーアイテムなど、コンスーマー向け商品の場合は、展示会で商品のギブアウェイは必須施策で、展示会にトラフィックを集める効果的な方法です。展示会の動員数に応じて、不足のないよう準備をします。

 

人件費と関連経費 – トレード ショー全体の予算の 20%

 

展示会ブースの人材は、ブランドアンバサダーとして会社とブランドを代表するマーケティング資産です。スタッフプランニングは出展の成功を左右する大変重要な要素で、スタッフ関連経費はマーケティング予算の平均 20% を占めています。

配置する人材の確保には、出展企業の自社のマーケティング担当と販売スタッフで全て賄う方法、または現地のイベントスタッフィングエージェンシーを利用して、現地スタッフを雇用する方法があります。

また、交通費(渡航費、ガソリン代・マイレージ、駐車料金)、宿泊費、飲食代・食事手当等の諸経費も考慮し、費用対効果の高い人員計画を行います。

 

リンク:アメリカでのイベント出展・開催におけるスタッフ計画

 

その他雑費 – トレード ショーの予算全体の 5%

 

これらは見過ごされやすい経費ですが、塵も積もればまとまった経費になるので、予め余裕をもっておくことがベストです。

 

見込み客リスト取得費用

イベント主催者やサービスプロバイダが提供するリード検索システムを利用する場合、多額の費用がかかることがあります。

 

ハウスキーピング費用

会期中に、カーペットの掃除機をかけ、ゴミの撤去をしてくれるオンサイトサービスの経費です。出展者自身で掃除機を持参して自分で作業を行うこともできます。

 

Wi-Fi/インターネット

Wi-Fiの提供はどの会場でも一般的になっていますが、製品またはサービスにインターネットアクセスが必要な場合、ワイヤレスホットスポットのレンタルが必要になります。

 

写真・動画撮影

出展の記録を撮影したり、映像にして活用したいといった場合の撮影、編集コスト。

 

トランシーバー

会場が広い、展示ブースが複数あるといった場合に、リアルタイムでコミュニケーションを取るために利用されます。

 

以上、アメリカでのトレードショー出展にまつわる一般的な予算の目安をご案内しました。もちろん、展示会や、展示物の内容、規模、スタッフ人数、渡航人数などにより、ケースバイケースですが、これからアメリカで展示会の出展を検討してみたい、といった際に参考にしていただければ幸いです。

 

<参考>

[1] Center for Exhibition Industry Research (CEIR)

[2] IBIS World Trade Show and Conference Planning in the US – Market Size 2005–2029

[3] Statista Average trade show budget according to industry professionals in the United States from 2020 to 2022

[4] Exhibit Designers and Producers Association

 

アメリカでのイベント人材ニーズをサポートします。

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また、イベント制作会社様のクライアント企業様のアメリカでのイベント出展・開催において、ソフト面のパートナーとして二人三脚でお手伝いいたします。

 

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